手形を現金化する方法や流れ|実際に現金化する際の注意点について

手形を現金化する方法や流れ|実際に現金化する際の注意点について

多額のお金を現金でやり取りするのは非常に大変なために、“手形”という方法で取引されることがよくあります。

“手形”という紙を持っていれば、銀行や民間手形現金化業者に依頼して現金化できますが、具体的にはどのような現金化方法があるのでしょうか。

そして、手形を現金化する際にはどのような注意すべき点があるのでしょうか。

この記事では、手形を現金化する方法や手形を現金化する際の注意すべき点について詳しく解説します。

クレジットカードの現金化については、カード現金化の仕組みを解説!手順や流れの記事をご覧ください。

手形を現金化する方法や流れを解説!

手形を現金化する方法や流れを解説!

“手形の現金化”と一口に言っても、詳しく見てみると手形を現金化する方法は、基本的に「銀行取立」「手形割引」「手形貸付」という三種類の方法があります。

銀行取立

手形の現金化の基本的な方法が、“銀行取立”です。

手形振出企業から受け取った手形を手形の支払期日になったら銀行に手形を渡して、銀行に手形振出企業から現金を取り立ててもらって現金化する方法となります。

実際には、現金化依頼者の取引銀行と手形振出企業の取引銀行間で口座のお金を移動させるだけです。

手形の現金化で最もポピュラーな方法であり、一般人が手形の現金化と聞いてイメージをする現金化方法です。

銀行取立による手形の現金化の流れは以下の通りです。

  1. 手形の支払期日に、“受取人(手形を振出企業から受け取った人。手形を現金化したい人とも言い換えられます)”が自分の銀行に手形を渡す。
  2. 受取人の取引銀行が手形振出企業の取引銀行と「手形交換所」で手形交換をする。
  3. 手形振出企業の取引銀行が、手形振出企業の当座預金口座から手形分の金額を引き落として受取人の取引銀行へお金を送金し、受取人の口座に振込んで現金化完了。

手形割引

手形の現金化には、“手形割引”という方法もあります。

銀行取立による手形の現金化は、支払期日を待たなければいけないという欠点がありました。

このため、どうしてもすぐに現金を調達したいときなどは困ってしまいます。

そこで役立つのが、手形割引という現金化方法です。

“割引”という名前から想像がつくように、通常の銀行取立で受け取れる金額よりも受け取れる金額が少なくなるというデメリットを負う代わりに、支払期日前でも好きなときに手形を現金化できるという仕組みになっています。

手形割引は銀行でも行えますが、手形割引を専門に取り扱っている「手形割引業者」という民間の企業もあります。

手形割引の基本的な流れは以下のようになっています。

  1. 手形振出企業から受け取った手形を“手形割引依頼人”が取引銀行 or 手形割引業者に手形割引依頼をする。
  2. 取引銀行 or 手形割引業者が手形振出企業や手形割引依頼人に関する審査を行って手形が不渡りにならないであろうことをチェック。
  3. 手形が不渡りになる可能性が低いと判断されて審査に通過後したら、取引銀行 or 手形割引業者が手形割引の手数料などを手形額面金額から割引いて手形割引依頼人にお金を支払う
  4. 手形支払期日になったら、手形振出企業が手形割引を行った銀行 or 業者に手形の額面金額分のお金を支払う。

手形貸付

手形の現金化には、“手形貸付”という特殊な方法もあります。

これまで紹介してきた「銀行取立」「手形割引」による手形の現金化は、手形振出企業から受け取った手形を現金化する方法でした。

しかし、手形貸付は違います。

現金化したい人自らが取引銀行 or 手形貸付業者に対して手形を振り出す手形振出企業になり、手形を担保にして額面金額から手数料を割引たお金を受け取るという現金化方法です。

簡単に言えば、手形を借用書代わりにして銀行からお金を借りるわけです。

手形貸付の流れは以下の通りです。

  1. 手形を現金化したい人が、取引銀行 or 手形貸付業者に対して手形貸付の利用を依頼する。
  2. 銀行 or 手形貸付業者の審査に合格したら、返済期日に相当する支払期日(基本的に一年以内)を定めた手形を振り出して額面金額から手数料を割引いたお金を受け取る。
  3. 手形貸付でお金を受け取った後は、少しずつ毎月お金を返済していき、支払期日までに支払いを終える。

実際に手形を現金化する際の注意点について

実際に手形を現金化する際の注意点について

「銀行取立」「手形割引」「手形貸付」という三種類の手形の現金化方法がありますが、それぞれの現金化方法には注意すべき点もあります。

注意点を守らないと損をするどころか、社会的信用を失う事態にもなるので気を付けましょう。

銀行取立による手形現金化の注意点

手形現金化の方法として最もポピュラーな方法である銀行取立には、主に二つの注意点があります。

  • 現金化は支払期日当日と前後1日(銀行営業日)のみ
  • 現金化依頼をしても実際に現金化できるのは最短3営業日後

一つ目の注意点は、手形の現金化は支払期日当日とその前後1日(銀行営業日)のみという点。

手形には、手形振出業者がお金を支払う日である“支払期日”が記されています。

銀行取立による手形の現金化は、この支払期日当日や支払期日の前後1日の銀行営業日にしかできないので注意です。

どんなに早く現金化したくても、支払期日を待たなければ手形は現金化できません。

また、現金化可能なタイミングを逃してしまった場合は銀行取立による手形現金化はできなくなり、自分で手形振出企業に取立てに行かなければなりません。

しかも、支払期日の過ぎた手形に対する支払い義務はないのでお金を受け取れない場合もあります。

もう一つの注意点は、銀行取立を以来しても実際にお金を受け取れるのは基本的に最短3営業日後であるという点。

銀行取立の依頼をしても、当日に手形交換所に手形が持ち込まれないことも珍しくありません。

また、不渡りのチェックなどもするので、現金化が完了するのは銀行取立を依頼してから基本的には最短3営業日後となります。

銀行取立を依頼してもすぐに手形を現金化することはできないので注意してください。

手形割引による手形現金化の注意点

手形割引による手形現金化の注意すべき点は、以下のように4つあります。

  • 額面金額を100%受け取れない
  • 支払期日までの日数が長いほど割引率が高くなる
  • 償還義務がある
  • 審査に不合格になる場合がある

一つ目は、額面金額を100%受け取れないという点。

手形割引は、支払期日前に手形を現金化できる方法ですが、その代わりに額面金額から手数料を割引されるというデメリットもあるので注意です。

二つ目は、支払期日までの日数が長いほど割引率が高くなるという点。

手形割引の割引率を決める計算式には、“支払期日までの日数”も含まれています。

このため、支払期日までの残りの日数が多いほど手形割引によって受け取れるお金が少なくなるので注意です。

三つ目は、償還義務があるという点。

手形割引は、取引銀行or手形割引業者に手形割引の依頼をして審査に合格すれば即座にお金を受け取れます。

しかし、“償還義務”が手形割引依頼人にあるので、お金は受け取れても取引は完全には終了していません。

万が一、手形振出企業がお金を用意できずに不渡りになった場合、振出企業に代わって手形割引依頼人が取引銀行 or 手形割引業者に手形の額面金額満額を支払わなければなりません。

手形割引には、償還義務というリスクがあるので注意です。

四つ目は、審査に不合格になることがあるという点。

手形振出企業の信頼性が低くて手形が不渡りになりそうな場合や、手形割引依頼人の償還能力が低すぎる場合は手形割引の審査に不合格になる場合があるので注意です。

手形貸付による手形現金化の注意点

手形貸付による現金化には以下のように二つの注意点があります。

  • 審査に不合格になる場合がある
  • 支払期日に返済できないと手形が不渡りになって社会的信用を失う

一つ目は、審査に不合格になる場合があるという点。

手形貸付依頼人の信頼性が低い場合、審査に不合格になって手形貸付による現金化はできないので注意です。

二つ目は、支払期日までに返済できないと手形が不渡りになって社会的信用を失うというもの。

手形貸付による現金化は現金を調達して以降、毎月少しずつお金を返済して手形に記されている支払期日までに額面金額全額のお金を全額返済する必要があります。

もし、支払期日までに全額返済できないと手形が不渡りになって社会的信用を失うので注意しましょう。