消費者金融や銀行ローンなどでの借り入れが増えてくると、やがて返済のために別のところから借りて返すというのを繰り返すようになります。
そしてすべてのカードが限度額いっぱいになってくると、クレジットカード現金化をする人も出てくるようになります。
クレジットカードのキャッシング枠は限度額いっぱいでも、ショッピング枠は余裕があるという人は多くいます。
返済に困ってしまった債務者でも、クレジットカード現金化で簡単に現金を作れてしまいます。
債務整理は、借入金の返済に行き詰まった人が生活を再建し直すために法律で認められた方法ですが、クレジットカード現金化をしてしまったが故に、一部の債務整理は不可となる可能性があるのです。
ここでは、クレジットカード現金化をするとなぜ債務整理ができないことがあるのかと、すでにクレジットカード現金化をしてしまった後の、債務整理の方法について解説しています。
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クレジットカード現金化 違法
目次
債務整理には4つの種類がある
返済に行き詰まった生活を再建させるための債務整理には、3種類の方法があります。債務整理=自己破産と思っている人も多くいますが、そうではありません。
借金返済ができなくなったから即自己破産するというわけではなく、債務整理は、
と4種類あり、その目的や効果、手続き、条件などそれぞれ異なります。
借入の総額と内訳、収入金額、現在の自分の状況などを踏まえながら、どの債務整理を行うかを弁護士と相談しながら決定します。
任意整理は誰でも比較的簡単に行うことができますが、個人再生や自己破産となると裁判所が間に入ってくるため、手続きや許可が下りるのに少し難易度が上がります。
任意整理
任意整理とは、将来にわたって発生する利息をカットして元金のみ返済していく方法です。
債権者と債務者から依頼を受けた弁護士が交渉を行い、利息カットだけでなく支払額が多い場合は、支払回数を引き延ばす交渉を行います。
最長で5年以内での完済というのが一般的ですが、債権者次第では7年にわたっての支払いで承認する場合もあります。
債務者は、利息がカットされるため支払った分がすべて元金に充当され、支払回数の延長によって月々の支払額を抑えることができます。
また、債権者にとっては利息の取りこぼしがあるものの、貸し倒れの損は避けられるのでお互いに納得のいく債務方法といえます。
個人再生
個人再生とは、個人の民事再生のことです。
消費者金融や銀行、クレジットカード会社などすべての借入先に対して、利息のカットと元本のカットの交渉が行われます。通常3~5年ほどで完済できる金額で、再生計画が作られています。
任意整理は、任意整理する相手は自由に選ぶことができるため、特定の借入先だけ任意整理することができるのに対し、個人再生は借入金額の大小関わらず、借入がある場合はすべてが対象となります。
自己破産
自己破産は、すべての借入を帳消しにする方法で、債務整理の中でも最終手段として位置しています。借入をすべて0にするため、それなりにペナルティが課せられます。
自己破産の手続きをすると、官報に氏名と住所が掲載され、最大10年間は金融機関から借入が制限されます。
しかし、今後の生活再建という観点からはその効果はとても高く、いち早く新しい生活を踏み出すことができるようになります。
特定調停
特定調停とは、簡易裁判所の仲介を経て債権者と債務者が話し合いの場を設ける事です。
借金が減額されるほか、自己破産のように財産等を没収される心配はありません。弁護士への支払いも無いので、費用も安く抑える事が可能です。
基本的には、債務者本人が書類や手続きの準備を行う必要があります。
債務整理にはデメリットもある
債務整理は、借金が大幅に減額、または帳消しにする事が出来る債務整理ですが、メリットばかりではありません。
では、債務整理にはどういったデメリットがあるのでしょうか?以下にまとめました。
それぞれ、見ていきましょう。
信用情報機関に記録される
債務整理を行うと、借金は減額され利息もカットされる事がほとんどですが、その手続きは信用情報機関に登録されます。
いわゆるブラックリスト状態となり、完済から約5年間はローンや借り入れなどが非常に困難になります。
戸籍に載る、職場を解雇されるといった噂もありますが、これらは誤解ですので、心配いりません。
手続きや必要書類を自分で準備しなくてはいけない
裁判所の手続きや提出する必要書類などは、基本的に全て自分で準備しなくてはいけません。弁護士などを雇う場合は別ですが、その場合は費用がかなりかかってしまいます。
結構大変な作業ですので、時間と覚悟が必要になってきます。
クレジットカード現金化をするとなぜ債務整理ができないのか
クレジットカード現金化をすると、債務整理ができないことがあります。
債務整理の中で効果の最も高い、自己破産については「破産法」という法律があり、免責規定が定められています。
【破産法 第252条第1項第2号】
破産手続の開始を遅延させる目的で,著しく不利益な条件で債務を負担し,又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
という要件が、クレジットカード現金化に抵触するため裁判所から免責が下りないことがあるのです。
クレジットカード現金化をしたからといって、絶対に裁判所から免責が下りないわけではないものの、利用頻度や状況によっては免責が下りず、自己破産の手続きを行うことができなくなります。
裁判所から免責が許可されないケース
クレジットカード現金化を1回でもやってしまったら、債務整理ができないというわけではありません。何度か現金化を行っていても、債務整理することは可能です。
しかし、日常的な現金化や高額の現金化、支払いの目途が立たないのに限度額内で何度も繰り返し行っていたなどは悪質とみなされ裁判所から許可が下りないことがあります。
また、クレジット枠現金化を行ってすぐの債務整理は認められないことがあります。
債務者からすれば、
- 返済するお金のためにやったことだから悪質な気持ちはない
- 贅沢をするためではない
など言い分もありますが、債権者を守るという観点から見るとそのようなクレジット枠現金化は債権者にとって不利益をもたらす行為である、と考えられるからです。
裁判所から免責を許可してもらうには
裁判所から免責が許可されない場合は、債務整理ができないというわけではありません。
破産法という法律で定められてはいるものの、債務整理に至ってしまうまでの経緯をまとめた陳述書の内容次第では、免責を許可してもらうことができます。
過去に破産がないこと、本人が深く反省していること、本人に悪意がなかったことなどが確認できた場合、例外として免責が許可されることがあります。
明らかに破産するつもりでいながらクレジット枠現金化を行ったと思われる場合は、免責が許可されません。
また、クレジットカード枠現金化をした後の債務整理が2度目以降であれば、本人に自覚があったはずとされ、こちらも免責は許可されません。
原則としては認められませんが、陳述書の内容や弁護士の力添えがあって、特別に許可されるという流れになります。
クレジットカード現金化をしてしまった後の債務整理
クレジットカード現金化をしてしまった後は、債務整理はもうできないのでしょうか?
裁判所から特別に免責が許可されることはあるものの、原則として認められないのであればどのようにすればいいのでしょうか。
クレジットカード現金化が認められない行為と定めているのは「破産法」で、破産法は自己破産の手続きを行う際に適用されます。債務整理のうち、任意整理と個人再生には破産法は適用されません。
そのため、クレジットカード現金化をしていても任意整理と個人再生の手続きを開始することは可能です。
クレジットカード会社は、原則としてクレジットカード現金化を禁止していますので、自分に不利益となる行為に対して見逃すかどうかは交渉次第となります。
現金化した後に任意整理をする場合
任意整理は、債務整理の中でも最も交渉がまとまりやすく、最もよく使われる方法です。
債権者からすると、利息カットや支払期限延長は不利益を被るものの、元々貸し出した元本はきちんと返済するという約束になります。
そのため債権者からすると任意整理されたとしても、利益の機会は損失するものの大きな損を出すことはありませんので、ほとんどの場合任意整理はスムーズに交渉がまとまります。
現金化した後に個人再生をする場合
個人再生は、任意整理のように利息カットだけにとどまらず、元本自体をカットしていきます。任意整理と自己破産の間に、個人再生が位置しています。
個人再生は自己破産のように借入金がすべて帳消しになるわけではないものの、債務者が実際に返済できる現実的な数字に収まることが多く、多重債務の場合100万円前後が多いとされています。
個人再生の手続きを行う人は、ほとんどが複数の債権者を抱えており、支払うべき返済金を決定する際、それぞれの借入額に応じて按分されます。
また個人再生は債権者の同意を得なければ手続きを行うことができません。
クレジット枠現金化をしてしまった場合、債権者が同意しないこともありますが、弁護士を通じて交渉していく中で多くは個人再生に応じてくれます。
そもそもクレジットカード現金化は違法なのか?
クレジットカード現金化は、違法ではありませんがグレーに近い行為ではあります。というのも、カード会社がこの行為を禁止しているからです。
この現金化という行為を違法にしてしまうと、カード払いで買ったゲームやソフト、衣類などを某全国チェーン店で売る事自体も違法となってしまいます。
ですので、「違法ではないけどカード会社的には禁止してるからね」という認識でいいでしょう。